欲望のままに
フレンチならでは!みたいな食材って色々ありますけどね、その中でも
リー・ド・ヴォー(ris de veau)は我々フランス料理に携わる者とって、最も
憧れちゃう食材の一つです。リー・ド・ヴォー、いわゆる仔牛の胸腺肉ですね。
乳を消化して身体に吸収させ、仔牛の弱い体に免疫力をつけてくれるという
大事な役割を担った大事な内蔵。 乳飲みの時期にだけさりげなく存在して
成長するとはかなく消えてしまうという、何とも希少価値が高く神聖な部位…!
よく牛の「シビレ」とごっちゃにされる事がありますが、リー・ド・ヴォーには
とっても厳しい規定があるので、一概に「シビレ」イコール「リー・ド・ヴォー」
という事にはなりません。 優しい弾力、白くてピュアなこのお肉を見ると
自然にテンション上がってしまいますよ。ああ〜早く 口の中に放りこみたい!
リー・ド・ヴォーの赤ピーマン包み焼き
仔牛のジュとバルサミコのソース、夏野菜をたっぷり添えて
一般的には、表面をカリカリに焼いて ちょっと濃いめのクリームソースなんかと
合わせるのがクラシックなスタイルですが、うちの店では敢えてそれを逸れて
「カリカリ」ではなく「しっとり」に仕上げています。 リー・ド・ヴォー特有の繊細さ
や滑らかな質感をそのままに楽しんで頂きたいという思いと、ピュアな旨みを
赤ピーマンで閉じ込めてしまいたい!という欲望から出来た罪作りな一品です。
色んなメニューがある中で、男性に好まれるお料理、女性に好まれるお料理
っていうのが自然に出てきたりするんですが、このお料理は紛れも無く女性。
「この前食べて美味しかったから、この人にも食べさせたくて」と、お友達や彼氏
を連れて再びリー・ド・ヴォー食べに来て下さる女性の率が圧倒的に多いんです。
ミルキーな味わいが、そしてシルキーな舌触りが、女性のハートをここぞとばかりに
キャッチするんでしょうか。 なんて有難い食材なんだ、リー・ド・ヴォー!
男性の皆様、女心をくすぐるにはコレですよ。
ここぞというデートに是非!