受講料
色んな業種の人から色んなお話をタダで伺えちゃうから、飲食店って
本当にラッキーですよ。本当なら講演料お支払いしなきゃならないような
スゴイお話も お酒のついでに聞けちゃうし、毎日刺激になります。
そんなお喋りの中で 「世の中にはお金を使いたくて仕方がないような
人種がいるものなんだよ」 と教えられる事が度々あります。つまり贅沢に
美徳を感じる人種、って事ですね。物の値段が高ければ高いほど信頼に
直結するようなね。 きっと、贅沢をする事にも何かしらの意味があって、
モノやお金をうまく循環するシステムの一部なのかもしれませんけどね。
そんな「使いたい」人種が通うようなレストランは全てにおいて一流で、
有名シェフは勿論の事 数々のコンクールで賞を獲ったソムリエが何人も
優雅に微笑んでいて、支配人がパリで買い付けてきたシャンデリアがあって
年代物のワイン、そして高級食材をふんだんに使った「特別高級コース」が
用意されているワケです。 高級なコースって、つまり希少価値の高い食材
を片っ端から集めてきて(最高級のフォワグラやらキャビアやら一番高値が
付く時期、産地のブランド肉や魚、野菜など)、ソースにもガルニチュールにも
あらゆる物に原価をかけて構成された料理って事ですね。贅沢の極みです。
っていっても所詮は食べ物ですからね。原価をかけるにも限度があって、
例えば一流の宝石とか毛皮、精密機器だらけの高級車や時計みたいな
値段には到底なりません。だって、食べ物なんだもん。
じゃあ、お金を使いたくてウズウズしてる人種を納得させる(値段の)
コース料理を作るにはどうしたらいいんでしょう?
キノコです。原価を釣り上げたかったら、高級キノコをふんだんに使う事。
特にフランス産の天然キノコは ペリゴールの黒トリュフを筆頭に、セップ茸や
モリーユ茸、ジロール茸、トランペット茸…などなど種類が豊富で美味しくて
存在感があって、とにかくその高貴な香りが料理とワインを引き立てるから、
どんなにお値段がお高くたって食通さんにはたまらない代物だし、世界中の
グランメゾンのお皿を飾る(そして原価を上げる)役目を担っているんです。
アンタんとこなんて小さいビストロなんだから、料理に原価をかけるとか
高級食材とか関係ないじゃん。って思うでしょ? ところがどっこい。
なぜなら うちにはキノコマニアの料理人がいるから!
何の因果か小さなビストロに来ちゃった高級キノコ様
おしゃまな女の子みたいなシャントレル・ジョンヌ
プリプリ食感がたまりません
高級感溢れる芳醇なラクテール
バターとの相性がバッチリです
見た目にも美しく品が良いシャルボニエ
芳醇なソースが更に芳醇になっちゃいます
香りと食感を司る魅惑の天然キノコ達…!フランス料理の醍醐味!
うちの店には美しいシャンデリアもビンテージワインも気の利いた従業員も
なーんもありませんが、しかしなんにもないからこそ、食材にだけはとことん
こだわる事が出来るんです。 いつもお客様から色んな事を学ばせて頂いて
おりますからね、その分受講料はキノコで還元しております。
(そして余ったキノコはまかないで美味しく頂きます!!)
「使いたい」人種よりも「食いしん坊」な人種に興味があるビストロは、
今日も色んなキノコを揃えてお待ちしております。