プリフィクスの心
パリの街角にあるビストロでメニューを開くと、
大抵 「Menu du Jour 」(本日のコース)の文字があります。
かしこまったフルコースじゃなくて、大体3千円位で前菜+主菜
が食べれるという、プリフィクス(選べる)コース。一見カジュアルだけど
それぞれのお料理のクオリティは高く、満足感のある内容になっていて
いくつかの前菜、いくつかの主菜の中からそれぞれに食べたい物を
選べるから便利だし、それを連れの人とシェアする事も出来るから、
食べる側としては何ともお得感満載な訳です。
その後ろのページにはアラカルト料理がずらっと書いてあって、
コースにするかアラカルトにするか迷いながらアペリティフを一杯
やるのがまた楽しい時間だったりするんですよね。
で、連れの人と食べたい物が似通っていて、ワインを呑みながら
のんびりお喋りしたい時はアラカルト料理をいくつかチョイスして、
シェアしながら楽しんだりする事も出来るし、
「私は今日は仔羊が食べたいの!」「僕は鴨のコンフィがいい!」
などと お互い食べたいものがハッキリ決まってる時は、やっぱり
コースがいいし、サラダだけアラカルトから追加してシェアする
なんて事も出来ます。 便利だし、選べるし、楽しいんですよ。
食べる楽しみと、選ぶ自由
自由はリラックス感に繋がります
ただ、このシステムはですね、お客様には便利でお得なんだけど
厨房サイドは、違うお料理を同時に、そして丁度良い提供温度で
同じレベルのクオリティでお出しするという、なんとも難易度の高い
ミッションが、課せられる訳です。 いや、大きな厨房で、料理人が
何人も居る所だったら何てことないシステムなんですけどね。
我がビストロクルル的には、実は引っ越し前の梅ケ丘店では、
それをやるには厨房があまりにも狭すぎたし、料理人ひとり仕事。
そしてなんといっても対応出来る設備が整っておりませんでした。
アラカルトの「クルル特製サラダ」
どうぞシェアしてお召し上がり下さい
「うちはアラカルト主体です。全てのお料理はシェア出来ます。」
っていう今までの(梅ケ丘の)スタイルは、実は苦肉の策。
プリフィクスは カジュアルで自由なコースですが、それは同時に
お店の顔になるお料理だし、フランス料理をやる以上はきちんとした
美味しさの組立がなければ意味がありません。
ひとりの為に作る一人用の料理
ガルニチュールも、ソースも、一人のために
今回引越しをして、まずやるべき事は、導入した最新機器達に
慣れて、それを使いこなせるようになること。引越しオープンから
半年間は夜だけの営業にして、まずは今まで通りアラカルト主体の
スタイルでやりながら新しい厨房に身体が馴れるのを待ちました。
そしてようやく料理人と厨房が一体化してきた所で、まずはランチ。
「違う料理を同時に、高いクオリティで、しかも素早くお出しする」という
ミッションを遂行するための、格好のトレーニングになりました。
そんなこんなで話は長くなりましたが(あれ、寝てた?)…
いよいよ夜のプリフィクス、やっちゃいます。
2人でプリフィクス、3人でプリフィクス、もしくはコースとアラカルトの
併用もお受けいたします。受けて立ちます!
プリフィクスコース 2900円
お一人でご来店のお客様もモチロンどうぞ!
食べる楽しみと、選ぶ自由。
自由はリラックス感に繋がり、リラックス感は美味しさへ。
「フランス料理は敷居が高い」なんて、そんなバカな。
美味しいモノを普段着のままで、呑んでお喋りしながら
自由に、お得に、楽しんでください!