ノルマをください
そういえば… いや、自分の話で恐縮なんですが…
昔、ばあちゃんの家で食べるご飯はとにかく野菜が中心で、
ブリ大根や筑前煮、ほうれん草のおひたしや白菜の酢の物、
納豆と梅干し、とろろ、海苔、麦ご飯…みたいな感じでした。
たまに出てくる「すき焼き」にさえ、人参やじゃが芋、長葱が
大量に入っていて(それはもはや「すき焼き」とは呼べない
料理ではありますが)隙間からわずかに見える肉を、必死に
コソコソ食べていた記憶があります。
「肉を食べる時は、その3倍の野菜を食べなくちゃいけない」
と、ばあちゃんはよく言っていました。肉を沢山食べたくて
仕方なかった子供の頃は、野菜が「肉を食べるためのノルマ」
でした。 あれからウン十年… 今、誰に言われるでもなく、
肉を食べる時には「大量の野菜」を身体が勝手に欲します。
カスレにも野菜が入っていたらいいな、と思って
野菜たっぷりのカスレを作っちゃいました(料理人が)
カスレと言えば肉の煮込み。豚やら羊やらの濃厚な肉の
旨みとガツンとしたソーセージ、鴨のコンフィなどなど。
で、それらの肉汁を吸い込んだホクホクの白隠元豆。
肉を喰らう!って感じですよ。濃厚な赤ワインですよ。
でも… 野菜も食べたい。出来れば肉と一緒に。
あの時食べたすき焼きのように、野菜に埋もれた肉を
探したい。肉の旨みでトロトロになった野菜と一緒に!
鴨の脂で炒めた色とりどりの香味野菜と根セロリ
ホクホク白隠元豆と、その滑らかなピュレ
旬のカブも沢山入れて、肉の旨みを引き出します
増田牛すね肉のスープ・ド・ガルヴュー仕立て
正式なカスレに牛肉は使いません。白隠元豆以外の野菜も
使いません。つまりこれは、もはやカスレではありません。
牛の旨みと、香ばしい鴨のコンフィ以外は、全て野菜です。
11年分歳をとったクルルの新・田舎煮込み(カスレ風)!
野菜ばっかりだけど、増田牛と鴨の旨みが強すぎるせいで
ガツンと濃い赤ワインが手放せないところは今まで通り。
だって、歳とったって、呑みたいもんね!