アロマ
石鹸みたいな優しい香りとか、柑橘系のフレッシュな香りとか、
はたまた薔薇のようなアロマティックな香りなど、いろんな香水が
あるもんですね。 香水は上手に使えばチャームポイントが簡単に
アップするし、品格や風格を自己プロデュースするのにもってこいです。
だけど、良い香りも付けすぎると逆効果。 満員電車の中で、香水を
明らかに付けすぎている人と接触しなければならない状況になると
大変です。直前に呑んだ美味しいワインの香りの記憶も何処へやら。
「良い香りも強烈すぎると公害になる」って昔誰かが言ってたけど、
本当にその通りだと思います。 いい香りは「仄かに感じる程度」に
留めておきたいものです。 もっとも、我々飲食店に従事する立場の
者にとっては御法度ですけどね、「香水をつける」こと自体が。
しかしですね、申し訳ないんですが、我々から「醸し出てしまう香り」が
たまにあるんです。それは、ソース・グランブヌールを仕込んでいる時。
蝦夷鹿の骨とスジをガッツリ焼くと…
ああ~こりゃ~もうええ香りですよ
肉!しかもジビエ!って感じの何とも言えないうっとりする香り
そしてこの良いかおりの骨達を…
「ソース・グランブヌール」に生まれ変わらせるんです
香味野菜と青森にんにくを香ばしく炒めたお鍋に投入します
美味しいソースになるべく招集された赤ワインの皆さん
A.O.C ミネルヴォワ、れっきとした美味しい南仏ワイン
いざ!美味しさの第二ステージへ!
(普通に呑んでも美味しいワインなんだけどなぁ~)
投入~っ!!(ああっ)
(勿体無い~!とか思ったらダメなんです)
蝦夷鹿の骨と筋を赤ワインだけで丁寧に煮出して、黒スグリの
果実味と黒胡椒の香りをプラスする、何とも贅沢で香り豊かな
ソース・グランブヌール!鹿肉のためだけに作られるソースです。
これでもか!と赤ワインを投入…
水は一滴も使いません!
(あ~あ… 全部使い切っちゃった…)
(一口くらい呑みたかった… とか思ったらダメなんです)
お店に入った瞬間に 「わぁ~すごく美味しそうな香り~!」なんて
お客様の口から発せられる時は、大概このソースを仕込んだ日。
野性味のある旨み成分、独特の地味深い香ばしさ、惜しげもなく
注がれた美味しい赤ワインの豊かな果実味、スパイシーなのに
品の良い黒胡椒…。1~2歳の最高に美味しい蝦夷鹿ですから、
その気品あるお味に負けないように、ソースだってちゃ~んと
美味しいものを用意しなければ!ありがとう蝦夷鹿ちゃん!!
ってな訳で、この時期ちょくちょく「ジビエ香」を身にまとっている
我々ですが、はっきり言って石鹸や柑橘や薔薇の香りに負ける
気がしません!枕にいい香りのポプリを仕込んで眠る人がいる
みたいですど、自分はジビエ香を仕込んで眠りたいくらいです!
だって、その香りで一杯呑めそうな感じなんですから。
呑みたいだけだろって?