心のスペシャリテ
「クルルさんのスペシャリテは鴨のロティですよね?」と、
とある格付け雑誌社の方から言われた事があったんですよ。
うちの料理人はそういうことに全く考えが及ばない人種なので
「へっ?うちのスペシャリテ?鴨なの?へぇ…」なんて感じでした。
うちのメニューは修行時代に培ったものや、それを更にアレンジ
して自分流にしたもの、又はまっさらな状態から作り上げたもの、
試行錯誤を繰り返してようやくメニューになったものなど、どれも
大事で愛おしい料理の数々ですから、「これがスペシャリテ!」
なんて言うのは、まるで我が子達の中から「この子だけが特別!」
なんて言ってるみたいで、どうも腑に落ちない感じなんです。
仏ランド産のマグレ鴨を好んで使っております
美しい赤身でしょう~!旨そうでしょう~!
フォワグラ用に育てられた鴨の胸肉です
さっぱりした赤身ながら旨みはしっかりとしています
(微かにフォワグラの香りがするのが特徴的)
とあるレストランが「うちのスペシャリテは牛頬肉の赤ワイン煮です」
なんて掲げていたとするでしょ、でも、そのお店のファンの中には
「私は肉の煮込み料理が嫌いだから牛頬肉は食べないけど、
この店は実は魚料理が美味しいのよ」と、お友達に勧めているかも
しれない。又は「確かにこの店の牛頬肉は美味しいけど、それより
シンプルにグリエした牛肉の方が僕には旨かったなぁ」なんて事も
あるかもしれない。そう、食には人それぞれ好みがありますからね。
余分な脂身や筋は徹底的に取り除きます
この作業をちゃんとやらないと美味しくならんのです
メニューにのっている料理ひとつひとつに、思い浮かべるお客様の
愛しいお顔があります。 クルル特製サラダを必ず食べてくださる
ロワールご夫妻、酒豪マリア、泉岳寺ご夫妻、豪快ピアニストもっくん
… そして、穴子とフォワグラのポワレを連続20回位(それ以上?)
食べてくださったIT番長、これを皆に食べさせたいと色んな方を連れて
来てくださるジャズ好き才女… そしてクルル風〆鯖を喜んでくださる
羽根木のモテモテグルマン、税理士ランナーあっくん、山ちゃん様…
そして、ズワイ蟹とアボカドのコンソメゼリー寄せを毎回食べて下さる
…(あ、これは人数が多すぎるのでまた今度)ってな感じです。
そして、うちの料理人がロティする鴨が好きな人は…
「クルルのスペシャリテは鴨のロティ!」って事でいいと思います
そうそう、フォワグラのテリーヌを一人でひと皿ペロッと平らげた後
「おかわり!」っていう「呑んたん☆」様、ご主人と一緒に来た時は
ちゃんと彼にも一口くらいは食べさせてあげてね。彼の分まで
食べないのよ、ね。 そしてヤリイカを気に入って下さっている師匠、
ご予約有難うございます。当店スペシャリテのヤリイカ、ご用意して
楽しみにお待ちしております!!