反省会のもとに
いつも優しい笑顔を向けてくださる、赤ワイン好きのムッシュー。
出版社時代には接待でよく使って下さって、フリーになってからは
お友達を誘って来て下さるようになって、うちの店が引っ越してからも
変わらない笑顔のままドアを開けて下さるその存在が、クルルにとって
どれほど励みになっている事でしょう! 立派な方なのに腰が低くて、
優しくてユーモアに溢れていて、何だかこっちが癒されっぱなしです。
この心優しいムッシューのお好みは、タンニンのしっかりした濃いめの
スパイシーな赤、とずっと認識しておりまして、先日来てくださった時も
いつものように南仏の美味しい赤をお薦めするつもりでいたのですが、
ふと「久しぶりにもう一度、ワインのお好みを聞いてみよう」と思いたって
(月日の経過と供にお好みが変わってくるお客様もいるので)、「今日は
ご気分的にどんなワインがよろしいですか?」とお聞きしたところ、
「え~と、濃いめだけどジャミーじゃないやつがいいな。イタリアワインだと
バローロみたいな感じの」というお返事が。
バローロ!? じゃ、じゃあ… 今までの自分の思い込みはひょっとして
間違っていたのか…!?と一瞬慌てまして、今まで飲んだバローロの
特徴を脳みそ総動員で思いだし、品の良い樽香とダークチェリーの風味、
そして優しい酸味が特徴的なボルドーワインをお薦めしました。
バローロの品種、ネッビオーロ。この品種の特徴は?香りは?味わいは?
ああ~!慌てる事のないように、ちゃんと普段からイタリアワインも飲んで
勉強しておかなくちゃなぁ~と反省しまして、とりあえずセラーに眠っていた
(7年位前に梅ケ丘のなかます酒店で買った)バローロのコルクを、その日
営業が終わってから思い切って開けてみました。
んん~… これがバローロ!
「ワインの王であり、王のワインである」バローロ様
「一番好きなワインは何?」と聞かれちゃうと、難しいものです。
お刺身にはムスカデや甲州などスッキリした白、天婦羅には
ピノ・ノワールがいいなぁなんて(個人的に)思ったりするし、
食事の内容次第で選べる楽しみがあるところが、ワインの
最大の魅力だと思うんです。その日の気温や湿度、体調の
変化なども大いに関係してきますしね。
だから、「このお客様のお好みはコレ」という思い込みは禁物。
今日お選び下さったメニュー、今日のご気分、最近のブーム、
色んな要素から嗜好は出来上がってくるものですから、毎度の
事であっても「どんなワインがよろしいですか?」の質問だけは
疎かにしてはいけない、という「反省会」で一本呑み干しました。
バローロ… 旨いなぁ!
「反省会」の名のもとに、呑んでおります
ムッシュー、今度いらっしゃる時までに、お好みの赤ワインを
ご用意しておきますからね!美味しいイタリアワインに負けない
洗練されたフランスワインの美学、ちゃんと勉強しておきます!