姫が来る日
うちの店のすぐ近くに小さな神社があるんですよ。
「大田姫神社」っていうんですけどね、うちの店が4年前に
世田谷からこの場所へ引越して来た時、初めてこの神社を
見た瞬間「おお、守り神様だ!」と勝手に思い込んでしまい、
それ以来毎日、帰り道に神社の前を通る度、一日のお礼で
お辞儀をするのが何となく慣例になっております。
そんなとある日、カウンターに予約を入れて下さった女性が
おりまして、彼女は中部地方にお住いのキャリアウーマンで、
出張で東京に来ているとのこと。せっかくだから美味しいもの
食べたい!との事で、美味しそうなお店をインターネットで
一生懸命探してくださったんだそうです。
(しかし、なぜネットでこんな小さなビストロに辿り着いて
下さったんだろう?と思ったりもしましたが…)
お店のドアを初めて開けて下さった彼女は、少し緊張の色が
あったかもしれませんが、すぐにリラックスして、ワインを
美味しそうに丁寧にお飲みになり、料理のひとつひとつに
「美味しい~!」のお言葉を下さって、本当に食いしん坊で、
楽しそうで優しくて、魅力的なカウンター族でした。
その日のお帰りの際に、「私、来月も東京に出張なんです。
今度は3泊の予定だから毎日来ます!」と仰って下さって、
「実現するのは難しいだろうけど、この言葉だけで十分嬉しい…」
と思っておりました。それがなんと!本当に3日間ちゃんと毎日
来店して下さったのです。それはそれは本当に楽しい3日間で、
最終日は非常に名残惜しく、一緒に盃を交わさせていただきました。
彼女を見送った後、ふと大田姫神社に目がいきました。
「そういえば、彼女の名前は太田さん。ひょっとして、彼女は
大田姫なんじゃないの?」とうっかり思ってしまいまして、
それを料理人に伝えたところ、バカにされるかと思いきや
「ああ~そうかもしれないねぇ」と真面目な顔で答えました。
大田姫が贈ってくださった、彼女の地元のシャルドネ
うう~美味しそうすぎるよ~
大田姫、ありがとうございます!
我がビストロの守り神!有り難いワインだなぁ~っっ
キャリアウーマンなのに、ワインが好きすぎて、なぜか
シニアワインエキスパートの資格まで取っちゃった彼女。
魅力的すぎます。しかも遠くからやって来てくださるなんて。
この素敵すぎるカウンター族を満足させ続けなくちゃ~!
姫、またお待ちしてます ♪