キノコの城
日本のキノコ達は、それほどライバル意識もなく
お互いにうまく共存しながら暮らしています。
舞茸さんは香りがいいねぇ、いやいやシメジさんは
味がいいから、いや椎茸さんにはかなわないよ~
なんてね。それをエノキ茸さんが笑って見ています。
しかしながらヨーロッパの西、食の都フランスの
キノコ達は完全なる階級制の元で暮らしています。
キノコ城に君臨する黒トリュフ王。その母親である
白トリュフ。圧倒的な権力を持つこの二人に対して
美味しさと触感を追及する志高き高級キノコ達は、
どうも納得できない日々を送っています。
トリュフに次ぐ高級キノコといわれる‥‥
セップ茸さんは、特に納得できません
「むしゃむしゃ食べれないキノコなんて、キノコとして
どうなんだ」と。「トリュフ様は確かに芳醇な香りだけど
市場に出回る値段が高すぎるし、せいぜいちょっと摩って
肉にのせたり、薄~くスライスして添えたり、みじん切りに
してソースに混ぜるとか、丁重に扱われ過ぎじゃないか?
それに、香りはあっても触感の面ではどうだろう。食卓で
求められるキノコの役割って触感ありきなんじゃないかな?
プリプリこそが我々キノコの使命なんじゃないだろうか?」
まぁまぁ、落ち着いてくださいな
あなたが最高だって事、皆知ってますから
エクストラヴァージンオリーブオイル風呂に入って
頂いて、旅の疲れを癒して頂いた後は、コンフィに
して旨味を閉じ込めます♪ どう?落ち着いた?
むしゃむしゃ食べれるキノコの最高峰
セップ茸様!あなたは最高のキノコですよ!
鮮魚のポワレとセップ茸のコンフィ、魚介出汁と
鶏の出汁を合わせた極上シェリーヴィネガーソース。
秋ですねぇ。キノコ城もいよいよかき入れ時。
誰が王で誰が執事で誰が下僕でもいいから、旬で
プリプリなうちに、早くクルルに来てくださいな。