常連様
飲食店をやってる立場として、「常連様」っていう言葉は
あんまり使っちゃいけないなぁーと思っているんです。
分かりやすいし便利なワードですから ぽっと使っちゃう事も
ありますけど、出来れば使わないようにしたいと思ってます。
そもそも「常連様」の定義ってなんでしょう?
オープン当時には毎日通って下さったお客様もいらっしゃったし、
今も毎週来て下さっているお客様、一月ごとのお客様、1年に1度
決まった日に来て下さるお客様、一時期ちょっと足が遠のいたけど
再び通い始めて下さるお客様、などなど。年数や回数なんて様々です。
例えば「〇〇さんはうちの常連様ですから」なんて言って、
そのお客様に「じゃあもっと通わなくちゃいけないかなぁ」なんて
ヘンなプレッシャーを与えるのは絶対!避けたいことです。
たくさん来て下さるから常連さん、高いワインいっぱい飲んでくれるから
いいお客さん、なんていう考え方はあまりにも短絡的だと思うんです。
外食って文化的な娯楽だと思いますから、お客様も飲食従事者も
お互いどんどん他の色んなお店に行って色んなもの食べて楽しんで、
結果的に高めあえる事が食文化の発展になるんだと思っています。
お気に入りの一冊の本を繰り返し読むのはすごく楽しいけど、たまに
違う本を読む事で、お気に入りの本の新たな良さを発見するかもしれないし
見える世界も大きく違ってくるかもしれない、なんていう事がね。あったりね。
何をエラそうにゴチャゴチャ言っとるんじゃお前は、と思いました?
すいません。 ええと、何が言いたいのかっていうとですね、
「腹減ったなぁー。よし、クルル行こうか」なんて思い出して下さって、
面倒くさい階段を登って下さって、 ドアを開けて入って来てくださった瞬間から
「常連様」なんて言葉では言い表せない、「かけがえのない大切なお客様」なのです。