初めて行くお店って期待でワクワクしますけど、同時に
不安と緊張の ドキドキ も セットで付いてきますよね。
本当に美味しいのかな、リラックスできる雰囲気かな、
どんな客層かな、予算はどのくらい、なんて感じでね。

思えばオープン最初の年、初めてのクリスマスディナーは
殆んどのお客様が初来店のお客様（ご新規様）でした。
翌年のクリスマスからは有り難いことにお顔を知っている
お客様からのご予約が多くなり、うちの店側としても普段の
気軽なアラカルトとは違う料理を、より洗練された物を、より良い
食材を、と奮闘するにつれ次第に「クリスマスは高級志向」に
なり、1万円や1万2千円などのコースでご用意していました。

そんな感じですから最近のクリスマスはいつも通ってくださっている
お馴染みのお客様でお席がうまり、とてもアットホームな雰囲気で
自分達も居心地が良くて、これって何だかすご〜く幸せなことです。
幸せなんですけど、ふと、これでいいのかな？という疑念が徐々に
大きくなってきました。「外食は文化的な娯楽」なんて信念ばかり
えらそうに振りかざしているくせに、特定のお客様ばかりを対象にして
小さな店をますます小さな世界にしているんじゃないか？という疑念。
文化というなら常に新しい人と関わっていく事は必要不可欠だし、
新しいものの見方や新しいご意見を頂く事も重要だと思うんです。

普段フランス料理なんて食べないけど、クリスマスだから
思い切って食べてみようか、なんていうお客様や、あの店
ずっと気になってるけどきっかけがなくて、なんていうお客様。
せっかくお電話で問い合わせていただいても「1万円!?」と
びっくりされたかもしれません。
そりゃそうですよね。ご新規さまからしてみれば初めて行く
お店で「1万円のコース」なんて。リスクが高すぎますもんね。

そんな事を色々考えた結果、今年のクリスマスは2種類の
コースをご用意させて頂くことにしました。
今まで通りの1万円のコースと、もうひとつ6500円のコースは
「いつもの気軽なクルルを知っていただくコース」です。
これをきっかけに、素敵なご縁が生まれますように。