ムシュー、シルヴプレ!
パリの夕暮れ、セーヌ川のほとりで次々に灯るレストランの明かり。
初夏の乾いた風にそよぐ三色旗と石畳の音、ギャルソンの明るい微笑みに
心も踊るビストロの扉。一歩中へ入ると焼きたてのパンと焼ける肉の香り…。
メニューを開けばまるで唄のような色っぽいフレーズにお腹の虫が踊りだし、
とにかくアペリティフで喉の誘惑を鎮めつつ、今日の楽しい構成を決めたら
すまし顔で「メインの前にヴィシソワーズをいただくわ」とか言ったりして。
ええと、梅ケ丘の真ん中で何言ってんの? とお思いでしょうけどね、
住宅街の中で密かにフランスの風を感じたっていいじゃないですか!
妄想は(人に迷惑かけない限りは)自由なんですから。
ポロ葱…久しぶりじゃないの、元気だった?
逢いたかったよ〜
あら新男爵芋様、まぁまぁよくぞいらして下さいました
ヴィシソワーズ・オールスターズですね!
さ 妄想に戻りますけどね、大好きなワイン片手に時々ヴィシソワーズ。
ポロ葱のクリーミー加減と じゃが芋のねっとりした旨味、コンソメのジュレ、
更に隠し味のシェリーは大人だけの特権。 ああ、ワインをもう一口…!
誘惑のスパイラル。 たかがスープ? されどスープ?
いや、スープだとか何がどうとか理屈はどーでも良いんです。
要はワインを呑ませるヤツ(皿)かどうか、って事ですよ。
梅ケ丘のとあるビルの二階で急にパリの風を感じたら、それは
目の前の冷たいスープのせいでございます。
そうだといいな。