縁の下のアナタ
「一番好きな食材は?」
お客様とのやりとりや雑誌の取材など、割とこの質問に
触れる機会が、料理人にはあるようです。世間の料理人が
なんと答えているのかは分かりませんが、うちの料理人は
間違いなく「セロリ」と答えます。フォワグラとか、トリュフとか
ジビエとかじゃなくて、「セロリ」。特に葉っぱをそのまま生で
ムシャムシャ食べるのが好きだそうです。変わってますねぇ。
うっとりとしたその視線の先にはセロリ
おおセロリ、どうしてあなたはセロリなの
鶏の出汁を作ってます
(フォン・ド・ヴォライユってやつね)
愛しのセロリ様がいっぱい!
この下に鶏がたくさんいるんですけどね(全然見えませんね)
品の良い香りと出汁が出ます
自慢のコンソメの「源」になる出汁です
この出汁をベースにして、ここから3日がかりで造るコンソメ。
「私、セロリ苦手なの」「え!いつも食べて頂いているコンソメに
たんまりセロリの出汁が入ってますけど…」「えっ!嘘でしょ?
全然知らなかった…!」「ス、スミマセン…」「いや、でもあれなら
食べれる。っていうか食べたい!バケツいっぱい食べたい!」
みたいな嬉しいやりとりが、たまにあったりします。
このフォン・ド・ヴォライユは万能なので、コンソメ以外にもよく
使っています。例えば、「鮮魚のポワレと仏産白アスパラ」の
極上シェリービネガーのソースにも入ってるし、「増田牛ブレゼ」の
付け合わせに使う古代米のリゾットは、この出汁で炊います。
感じるようで感じない、それでいて仄かに旨味として姿を変えた
セロリの恩恵。縁の下の力持ちは、実はセロリだったなんて!
おおセロリ、どうしてあなたは…
セロリなの!